
【 HatmanDPSオーディオ民生機器モデル製作へ向けて】
第17話 コンプではない
音量に左右されずに音圧感が調節できるのはかなり便利で、当時めちゃくちゃ遊びました。
一般的に音響の世界で音圧を制御するとなると出てくるのがコンプレッサーと呼ばれるエフェクト回路です。
コンプレッサーは突発的に強いエネルギーを持った音を抑えたり、弱すぎて引っ込んで埋もれてしまいそうなエネルギーの音を際立たせたりすることで、全体的な音の強さの変動を均一化させるものです。
それは上手に使うと独特の圧縮感のあるサウンドになって音楽的に馴染みのよい音色になる反面、やり過ぎると抑揚が無くなって表現力が出なくなるという、なかなかにコントロールが難しい部類のエフェクターなんですね。
アマチュア演奏家の場合は粗が目立ちにくくなるので、きつい目にかけると演奏の粒が揃って楽チンペクチンにはなるのですが、成長の妨げにもなるぞと先輩風をビュービュー吹かせたライブハウスのおっさんに注意されてから僕は大嫌いになりました(笑)
で、改めてコンプレッサーと向き合うと、どんなにナチュラルに使おうとしても不自然さが耳に付いて、「この不自然さが耳に付かないやつを作ろう」となったのでした。
それゆえ「ワイルド」のツマミはコンプレッサーのようでいて、独特の圧縮感ではない音圧感を実現させられたのでビュービューおっさんに今ならありがとうと言いたいです。
またトーン回路では思うような耳当たりの良さに直結せず、別の解釈で作り始めます。
トーン回路はイコライザなどのフィルター系エフェクトに属し、音色のキャラクターがぐりぐり変わってしまうので素材(楽器)の持ち味が失われるのが嫌でね。
暫定的に耳当たりの良さを調節するツマミを「マイルド」としました(笑)
(ワイルド&マイルドのマシン写真見つからなかった残念)
その後、やはりいろいろ改めて電子工学を学ぶ必要があるな、と思い大学に進学。
ポケベルからPHSになり着信音が単音から三和音になる、の頃には友人たちから「なんでそんなことが出来るの?」と言われ『HaTeNa?』というブランド名で周囲の知人にハンドメイドエフェクターを作ってあげたりしていました。
つづく!