
【 HatmanDPSオーディオ民生機器モデル製作へ向けて】
第15話 余剰エネルギー
音響は拡声が目的なので、その過程で行う電気信号の増幅という行為において「大きくすることこそが正義である」かのように思われがちです。
そのため、なんでもかんでも大きくすることがプラスで、なるべく早く大きくすることが正解かのように思われがちです。
え?違うの?
はい、違うんです。
実際は、有り余るエネルギーをいかにコントロールするか、上手に制限をかけるか、繊細な表現が出来るくらいにまで抑えられるか、飛び出しすぎないように出来るか、が大切で「制御」が真の目的になります。
例えばボリューム。
テレビの音量ボタンを想像してみてください。
あれ「音を大きくするボタン」だと思ってるでしょ。
違うんです。
あれはテレビの全力全開パワーに対して「どの音量まで小さく鳴らすかを調節するボタン」です。
おっきいとうるさくて使えないから小さく抑え込んで聴きたい音量まで下げているのです。
なんだったら音量最大にしてみても、機械としては最大ですが回路としては最大ではありません、まだまだ出るけど要らないのでユーザーさんが触れる限界を最大ボリュームに設定しているだけなんですよ。
でね、なんかそれ勿体無いなぁと思っていたわけです。
持てる能力を発揮しきれないとか、多すぎるから常に半分以上捨てながら使い続けてるとか。
実用には不要なエネルギー、有り余るエネルギー、捨てちゃってるエネルギー。
わかった上で最初から上手に制御したら、もっとほかにそのエネルギーを有効活用できるんじゃないのかな。
そんなことを考えながら、余剰エネルギーを別の音表現に使ってみる最初の回路を考案しました。
90年代中頃、高校生でした。
つづく!