
【 HatmanDPSオーディオ民生機器モデル製作へ向けて】
第33話 フラットの概念
例えばスピーカーから音が発射される前の、まだ電気信号の状態のものがあるとしましょう。
その音を帯域別に見たときに、低い音域から高い音域までまんべんなく同じ強さの度合いだったとき、それをグラフで可視化してみると「平坦」になります。
平坦はフラットと表現されて「可聴帯域がフラット特性である」という使われ方をします。
見た目には綺麗ですが、それがスピーカーからそのまま出てきたとしても、どんな人にとっても同じ度合いの心地好さで響くというものではありません。
再生空間側はどうでしょう。
アンプやスピーカーにも個々の個性や能力がありますから、電気信号の状態のまま何の変化もなく空気中に拡散されることはありません。
ビリヤードはご存知ですかね、実は音も同じく物に当たるとその角度と強さに応じて跳ね返るんです。
壁や天井、調度品や荷物や人の体など、当たる物の素材、固さや中身や形状によって様々な大きさと方向に分散されたり吸い込まれたりするんですよ。
引っ越ししたての何もない部屋だととても反響がきついですが、物が入ると音は引き締まり、生活感が出るほどに響きは吸収されやすくなります。
そのいずれの場合においても、それが落ち着く人もいれば、難とも思わない人もいれば、居心地が悪いという人もいます。
そこで物の置き方を工夫したり壁や床や天井に手を加えたりして音の凸凹が物理的に起きにくくなるようにしてみたら、ビリヤード台と同じく部屋のどの場所でも同じような響きになります。
そのときの音の響きの様子は「均質」になっていて、均質もフラットといえることから「再生環境がフラット特性である」といいます。
しかし扱うものはビリヤード球ではなく音。
人によって感じ方が違う以上、再生環境都合による凸凹があるのが違和感な人、ないのが違和感な人、いろいろです。
違和感に対する感知度は人それぞれ、ということなんですよね。
ではそれらとは違うベクトルでの、人にとっての体感基準となるような何かしらのフラットを考えてみるのがよいかもしれませんね。
つづく!