
【 HatmanDPSオーディオ民生機器モデル製作へ向けて】
第31話 音の空間調律師
機器間のバランスやマッチングなどは回路設計をする人側は完全に理解した上での考慮が必須で、そこをどう使いこなすかで設計者の手腕やセンスが試されます。
ってなことを言われてもユーザー側からすれば「知らんがな」なので、多くの人が「これがいいかも」と思う機器を買い揃えて繋いで鳴らしたらこう感じた、しかないと僕は思っていて。
選ぶ基準は人それぞれで、スペックな人もいれば見た目デザインな人もいたり。
本来それでよくて、組み合わせも何もかも自由でいいと思うんですね。
その組み合わせの妙で自分好みに寄せていくんですよね。
音に関わる趣味には二面性があって、音響物理や電気物理ちょいかじりメカニカルな部分に入れ込むケースと、シンプルに音の響きを身体全体で吸い込みたいケース。
これらは対極にあるわけではなく、一方のみに振り切る人もいれば、両方の要素をその時々で比重を変えながら楽しむ人もいます。
僕はHatmanオーディオではそのいずれのかたにも存分に楽しんでいただけるような音空間表現をしようと決めて設計製作をしています。
取っ付きやすく、すぐに楽しめて、味わい深く、極めるのは難しい(笑)
要は楽器と同じです。
ところで「空間デザイン」という言葉があります。
たまにそれを用いて「音の空間デザイナーですね」と言ってくださることがあります。
とても有り難く嬉しいのですが、僕の感覚はちょっと違っていて。
確かに空間演出という側面はあるにはあるのですが、仕事としては響きのバランスを調える作業がメインなんですね。
それは楽器のチューニングと同じく「調律」なんです。
聴いてくださる方々、無意識に耳にされる方々、に対して人生時間のデザインをさせてもらっている、くらいの気持ちで音と向き合っています。
心理的に安心できて、ストレスを感じない快適な領域のことをコンフォート・ゾーンといいます。
僕は音のコンフォートゾーン・クリエイター「音空間調律師」です。
つづく!