
【 HatmanDPSTMオーディオ民生機器モデル製作へ向けて】
第45話 範囲の中の自由
日常的な感覚としてあまり意識していないかもしれませんが、どこかから音が聴こえてきた際に、こちらの首を振って顔を左右に動かしたら音の響きの雰囲気が変化して聴こえる現象が起きます。
その変化の特徴を捉える感覚は個人差あれど、耳からの情報センサーとしては動物なども皆一様に持っているとされています。
それによって発音位置や距離感などがわかるという仕組みになっていて、救急車などのサイレンで接近前と通過後で音が変わるドップラー効果は有名ですよね。
しかしながら音は空気の振動なので、振動を感じ取れるものであれば鼓膜以外でも存在感や気配感は受け取れると考えています。
髪の毛や顔面、肌などの皮膚は痛みや熱を感じることが出来る触覚器官ですから、音の響きの情報に含まれる雰囲気や温度感などはむしろ耳よりも拾い上げられるのではないでしょうか。
「どうやって??」というお話については大人の事情で申せませんが、特殊音響HatmanDPSTMパラメーターにある『Size(サイズ)』は、その範囲の中にいると概ねどこにいても均質に響くようになります。
首を振っても派手にシュワシュワしたりはしません。
ステレオ音源で左右のスピーカーから鳴っていても、サイズで決めたエリアの中ではひとつの音空間に自分が居る感じになります。
もちろん音源は左右で違う情報が流れていますので、各スピーカーのすぐ前に行けばそちら側の音が濃くなるのは当然ですが、楽しみたい座り位置辺りではひとつの音源空間に包まれるようになります。
昔からあるオーディオの再生技法で、左右の音源を配線の工夫などでほんのり混ざるようにして繋がったように錯覚させる、というものがあります。
HatmanDPSTMはそうではなく、ステレオと言いながら左右は完全に独立している、言わばモノラル機が2台ひとつの筐体に入っているという構造になっていて、信号処理内での左右干渉はありません。
ただし扱う信号はステレオでひとつの音源なので、左右の回路は部品選定から測定をした数値で合わせ込んだスーパーマッチド構造と基板アートワークから配線の取り回しに至るまで左右の差が限りなく出にくいように作り込んでいます。
だから空間が綺麗につながるんです。
シンプルでありながら、簡単には作れない内容です。
つづく